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調査研究・コラム

コラム

〈2024/09/17〉

主席研究員 桜井智野風

子どもの才能を賢くサポートするために必要なこと

皆さんは「ゴールデンエイジ」ということばをご存じでしょうか?子どもの運動能力が飛躍的に伸びる体の動かし方、動作、技術を短時間で覚えることができる一生に一度だけの貴重な年代のことで、9~12歳くらいの時期がこれにあたります。手本を見せるだけで、その動きをすぐにマネできるような状態から「即時の習得」の時期とも呼ばれます。

【プレ・ゴールデンエイジとは】

今回お話ししたいのは、ゴールデンエイジ期の前段階の幼児期から8歳頃の「プレ・ゴールデンエイジ」のお話です。

図1をご覧ください(資料1)。プレ・ゴールデンエイジ期は神経系(脳や神経)(青線)が著しく発達する時期で、脳が環境により変化できる能力(オレンジ線)も非常に高い時期です。脳や神経系が柔らかく、身体が多種多様な刺激を求めている時期です。そのため、運動が上達するための身体の準備(緑線)が急激に進む時期です。そのあとに訪れるゴールデンエイジ期で得られる「即座の習得」は、プレ・ゴールデンエイジ期に様々な動きや運動を経験し、神経系がしっかりと完成している場合にのみ現れます。

図1

【幼児期に開始したい“スキル”への刺激】

幼児期の能力は小学生とは違います。どう違うのでしょうか? 結論から言うと、幼児期のほうがさまざまな「スキル」の吸収力が圧倒的に優れているということです。これはすぐに形として現れることはないかもしれません。小学生になるころから行動やパフォーマンスとして現れる場合がほとんどです。例えば、文字を書く能力。上手な文字を書けるようになるのは小学生になってからかもしれませんが、文字に興味をもってマネをしながらペンを持つのは幼児期です。先ほどの、ゴールデンエイジ期にきれいな字として完成させるためには、プレ・ゴールデンエイジ期に興味をもって刺激を受けることが大事なのです。お手本を見ながら練習するのはゴールデンエイジ期かもしれませんが、ペンをもって絵や字を書くというスキルを開始するのはプレ・ゴールデンエイジ期でなければならないのです。

子どもの才能を賢くサポートしていくのであれば、神経の発達が80%に到達するプレ・ゴールデンエイジ期に様々な運動や動きを経験して興味を刺激する機会を作ってあげてください。この経験がその後ゴールデンエイジ期の運動能力の伸びに大きな影響を及ぼすかもしれませんから・・・。

 

【参考資料】

1:『クリエイティブサッカー・コーチング 小野剛 (1996)』を著者が改変

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