コラム
〈2024/08/01〉
顧問 渡部かなえ(神奈川大学人間科学部教授)
小学校進学
神奈川大学 渡部かなえ
神奈川大学産官学連携研究事業
「お受験」という造語が一般的に使われるようになった1990年代(昭和)に幼児だった人たちが親世代になり、その子どもたちが小学校に進学する年代になりました。小学校受験は、子どもはもちろん親にも、そして子どもたちが通う園の保育にも、影響を及ぼしています。かつては、小学校受験をするのは、保護者が共働きの保育園児より、保護者が退園後に受験対策教室や習い事に子どもをつれていくことができる幼稚園児の方が多かったのですが、今は、子どもが在園している時間が長いことを利用して、小学校受験対策を行うに保育所(認可外)もあり、共働きで子どもに小学校受験をさせたいと思っている保護者の関心を集めています。親御さんが「子どもにより良い教育を、その子にあった教育環境で」と思うのは当然ですし、SNSや幼児の受験産業から発信される大量の情報から「お受験が増えている」というイメージがありますが、実際はどうなのでしょうか?
2020~2023年度入試までは小学校の受験者数は増えていました。けれど2024年度入試では減りました。(図:首都圏の私立小学校の志願者数、参考資料1)
小学校受験者数の変動の背景要因については様々な推察がなされています(参考資料1、2)。少子化が進行している現在でも、公立小学校に在籍する児童数は600万人弱(1学年100万人弱)で、国立と私立の小学校に在籍する児童(合計12万人弱、1学年2万人弱)は小学生のごく一部であり(参考資料3から作図)、小学校の受験者数が増えた・減ったといっても、その数は千人単位であり、日本の全児童数から見れば、その変動は誤差範囲です。
年長の子どもたちは小学校への進学を楽しみにしています。進学予定の小学校が私立でも公立でも、わくわくする気持ちに変わりはありません。保護者の方は、氾濫する情報に惑わされることなく、保護者が「わが子には、この小学校がいい」と思う学校を選ぶのが一番です。でも、もし、その選択が、準備も含め、親や子どもに無理がかかるようなら、ちょっと考えなおしていただきたいです。将来は大事ですが、保育所で元気に遊んでのびのび過ごす日々も大事です。「生きる力」の土台となる非認知スキルは、幼児期の遊びや人間関係、さまざまな体験を通して育まれます。かけがえのない幼児期、後で取り返すことができない日々を大切に。
参考資料3より作図
年長の子どもたちは小学校への進学を楽しみにしています。進学予定の小学校が私立でも公立でも、わくわくする気持ちに変わりはありません。保護者の方は、氾濫する情報に惑わされることなく、保護者が「わが子には、この小学校がいい」と思う学校を選ぶのが一番です。でも、もし、その選択が、準備も含め、親や子どもに無理がかかるようなら、ちょっと考えなおしていただきたいです。将来は大事ですが、保育所で元気に遊んでのびのび過ごす日々も大事です。「生きる力」の土台となる非認知スキルは、幼児期の遊びや人間関係、さまざまな体験を通して育まれます。かけがえのない幼児期、後で取り返すことができない日々を大切に。
【参考資料】