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調査研究・コラム

コラム

〈2024/07/05〉

主席研究員 桜井智野風

子どもの熱中症を防ごう

暑い夏がやってきます。熱中症について、大人の対策については知っている方は多いと思いますが、子どもにも子どものための対策があるんです。今回は子どもの熱中症についてお話しします。

 

【汗の大切さ】

熱中症は過度な体温の上昇により起こります。この体温の上昇を防いでいるのが我々の「汗」です。汗は血液の水分から作られますが、これが皮膚の表面に出て蒸発するときに、体の熱を空気中に放出させてくれます。体温よりも気温が低ければ、皮膚から空気中へ熱が移動しやすく体温の上昇を抑えることができます。また、湿度が低ければ汗をかくことで熱が奪われ、体温をコントロールすることができます。しかし、子どもは汗を出す「汗腺」がまだ十分に発達していないために、熱中症の危険性が大人よりも高くなります。

 

【子ども特有の熱中症メカニズム】

子どもが暑い環境で活動すると、未発達な「汗をかく能力」を補おうとして、頭や体の皮膚血流量を増加させ皮膚から空気中に熱を逃がそうとします。子どもの顔が真っ赤になるのはこのためです。加えて、子どもの体は大人に比べて熱しやすく冷めやすい特性を持っています。熱くなっても涼しい環境に一度戻れればすぐに体温は低下しますが、気温が高い中で長い時間活動すると、熱しやすい体の体温は上昇するとともに、未発達な発汗能力が影響し、体温はさらに上昇し、熱中症のリスクが増してしまいます。

 

【水分摂取だけに集中しないで】

子どもでものどの渇きは大人と同等に起こります。スポーツ活動時でも発汗量に見合った水分を補給することができます。のどの渇きに応じて自由飲水ができるようにしましょう。

熱中症の予防対策を説明するテレビ番組で強調されることに「水はマメに摂取しましょう」「スポーツドリンクを飲みましょう」など、水分の摂取に主眼が置かれることが多くあります。しかし、熱中症から身を守るために、何より重要なのは体温を上昇させないことです。水分をきちんと摂取することは大切ですが、スポーツドリンクさえ飲んでいれば、熱中症を予防できるとは絶対に考えないでください。「暑い中でも水分を取っていれば大丈夫」というのは危険な考えです。

 

【肥満にも気を付けましょう】

高温時のスポーツ活動時において、皮下脂肪が多いほど空気中に逃がす熱の量が低下することがわかっています。そのため、肥満傾向の子どもほど、暑熱下での長時間運動時に、熱中症になりやすいことを覚えておかねばなりません。

 

【子どもの方が暑いんです】

気温が高い晴天時には、地面に近いほど気温が高くなるため、身長の低い幼児は大人よりも暑さを感じています。通常気温は150cmの高さで測りますが、気温が32℃だったとき、幼児の身長である50cmの高さでは35℃を超えてしまいます。大人が暑いと感じている時は、幼児はさらに高温の環境にいることも忘れないでください。

 

【子どもの熱中症対策4つ】

  • 顔色や汗のかき方を十分に観察しましょう

顔が赤く、たくさん汗をかいている場合には、体温がかなり上昇していると思われますので、涼しい環境で十分な休息を与えてください。

②適切な飲水行動を学習させましょう

喉の渇きに応じて適度な飲水ができる能力を付けさせましょう。

③日頃から暑さに慣れさせましょう

日頃から外遊びを行いましょう。

④ 服装を選びましょう

幼児は衣服の選択・着脱の意思表示がうまくできない場合があります。環境条件に応じて衣服の選択や着脱を適切に行いましょう。

 

安全で楽しい夏をお過ごしください!

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