コラム
〈2024/02/05〉
顧問 渡部かなえ(神奈川大学人間科学部教授)
学童保育
神奈川大学 渡部かなえ
神奈川大学産官学連携研究事業
就労している保護者にとって、勤務と通勤時間を合わせて最長11時間(保育標準時間)、夕方まで専門職の保育士さんが子どものケアをしてくれる保育所は、とても頼りになる、子育てになくてはならない存在です。子どもが卒園して小学校に入学すると、午後2時から3時くらいに下校しますし、入学後の1~2週間はもっと早い時間の帰宅になるので、保護者が帰宅するまでの間、つまり子どもたちの放課後の安心・安全を守るしくみが必要になり、「学童保育」が誕生しました。核家族化や女性の社会進出が進んで「学童保育」のニーズは高まり続けています。(図1)
図1:放課後児童クラブ数・登録児童・待機児童の推移(参考資料1)
学童保育は1998年に児童福祉法に基づく放課後児童健全育成事業として法制化され、2007年には厚生労働省と文部科学省が連携して「放課後子どもプラン」を創設し、子育て支援政策をすすめてきました。放課後児童健全育成事業を実施する場を、マスコミでは「学童保育」と言っていますが、国は「放課後児童クラブ」と呼称しています。「保育」という言葉は使っていません。民間では「学童保育」をはじめ「学童クラブ」や「放課後キッズクラブ」と名称は様々です(本稿では、一般的によく知られ使われている「学童保育」と記載します)また、地域の特性や保護者のニーズ、企業の介入の影響などもあり、学童保育は中身も多種多様です。留守家庭の児童への生活保障として生活・遊びの場を提供する「学童保育」だけでなく、英会話等の学習やスポーツに重きを置く習い事の教室のようなタイプもあります。「安心・安全」の保障だけでなく、子どもに「豊かな放課後」を提供することが今の「学童保育」の使命ですが、「子どもにとって豊かな放課後とはなにか」といった考え方も様々ですし、運営状況や設備など、環境的も自治体や運営法人ごとに異なります。筆者の大学や産官学連携研究事業をさせて頂いている保育所(スターチャイルド)がある横浜市にも、保護者の経済的な負担が少ない学童保育もあれば、プラスアルファの料金を徴収して定額の利用料だけではできない多様な活動をしているところもあります。
年長さんは、この3月に保育所や幼稚園を卒園し、4月に小学校に入学します。就業している保護者の方でお子さんの学童保育の利用を検討なさっている方は、4月になって慌てないよう、入学準備の一環として学童保育選びも始められた方がよろしいかと思います。その際、学校や自宅から近いというだけで決めてしまうのではなく、活動の内容が自分の子どもに合っているか、環境や職員の数、安全管理など親が安心して子どもを預けられる体制が整っているか(参考資料2)、実際に保護者と子どもで見学して確認することが重要です。
【参考資料】