コラム
〈2022/11/07〉
顧問 渡部かなえ(神奈川大学人間科学部教授)
コロナ禍の運動会
神奈川大学 渡部かなえ
神奈川大学産官学連携研究事業
新型コロナウイルス感染症の拡大で、2021年までは、学校園では様々な行事の実施が見送られました。運動会もその1つです。けれど、文部科学省は、運動会などの学校行事は、子どもたちにとってかけがえのない貴重な思い出となる有意義な活動なので、これらの行事の教育的意義や子どもたちの心情等を考慮した上で、直ちに中止とはせずに、感染防止のために必要な措置を行った上での半日開催など、実施方法の工夫も講じた上で可能な限り実施するよう求めています(2022年2月・参考資料1)。
2021年度の時点で既に、幼稚園ではほとんど、保育所では8割%以上が実施していました(表1・参考資料2)
表1 運動会の実施状況(2021年)
|
幼稚園 | 保育所 |
運動会を実施する | 98.5 % | 80.6 % |
運動会を実施しない | 1.5 % |
19.4 % |
ただし、コロナ前の開催とは異なり、75%以上の園が時間を短縮しての開催となっていました。また、幼稚園の6割以上、保育所の7割弱が競技数を減らしており、幼稚園の半数以上、保育所の4割%以上が昼食をなくす(半日開催)など簡素化して行われていました(図1・参考資料2)。
図1 運動会の実施内容の変更
幼稚園や保育所の運動会は、保護者にとっても、子どもの健やかな成長と元気な姿をみることができる貴重な機会です。発熱、咳がある場合は当然ですが、微熱や体調不良とまではいかなくても体調に違和感を覚える場合も、保護者の運動会の観覧は控えていただいた方が安心です。また、保護者の方も手洗いや咳エチケットなどの感染予防対策をしっかりやっていただくことを、文部科学省も促しています(参考資料3)。さらに、屋外や広い体育館であっても、三密状態を作らないよう、ご自分のお子さんの出番が終わったら、撮影エリアや観覧スペースから速やかに移動するなどの配慮も必要です。マスクの着用については、現在、政府も緩和の方向に動いていて(参考資料4)、屋外で十分な距離が取れる場合は大人もマスクの必要なしとなっていますが、十分な距離が取れない場合はマスクが必要となっています。保護者同士で話す機会も出てくるので、観覧中はマスクを着用した方がよいでしょう。
運動会を感染拡大の発生場所にしないために、複数の保護者で集まって長時間おしゃべりすることを避け、マスク着用や手指消毒などの園の感染予防対策の徹底に協力して、安全で楽しい運動会を、大人みんなで見守り力を合わせて実現しましょう。
【参考資料】
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kansentaisaku_00001.html