コラム
〈2019/11/01〉
研究員 守隨佑果
【絵本のこばこ】2019年11月『てん』 ピーター・レイノルズ/作・絵 谷川 俊太郎/訳
描くことが苦手なワシテにとって、お絵かきの時間はとても苦痛です。
ところが、白い紙に描いた「てん」にサインを求める先生との関わりをきっかけに、意欲的にいろんな「てん」を描きはじめるワシテ。
相手の行為を自分の物差しではかることなく尊敬し認めること、見方次第で物事は違って見えることに気付く機会になりそうです。
最後には、自分がされたように同じく他者にも寄り添うワシテに、細やかな心の動きと成長を感じられる作品です。
ワシテにとっての先生のように、寄り添う人がいることで勇気をもらえたり成功体験につながったりする素敵な関係を、私たちも築けたらどんなに素敵でしょうか。ご家庭や園でたっぷり絵本の時間をとり、読み聞かせの後に他者への寄り添いのかたちを一緒に考えるのも、濃いコミュニケーションの時間に繋がりそうです。
【書籍情報】
ピーター・レイノルズ/作・絵
谷川 俊太郎/訳
出版社:あすなろ書房
おすすめ対象年齢:4歳~
【評者プロフィール】
守隨 佑果 ヒューマンスターチャイルド株式会社フィールドサポーター
保育士/幼稚園教諭/絵本専門士/JPIC読書アドバイザー