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調査研究・コラム

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〈2019/09/15〉

顧問 渡部かなえ(神奈川大学人間科学部教授)

【神奈川大学産官学連携研究事業】第16回 学童保育も不足

待機児童の問題で困っているのは保育所への入園がかなわなかった幼児とその保護者だけではありません。小学校入学以降の子どものための学童保育も不足しています。下図は、厚生労働省(参考資料1、参考資料2)が発表した、学童保育の利用希望者数から児童館などの施設の登録児童数を引いた、利用できなかった児童数(=待機児童数)の推移をグラフに表したものです。2001年に小泉純一郎内閣が掲げた「待機児童ゼロ作戦」を受けて調査が始められた2002年から待機児童数(小学生)は増加する一方でした。リーマンショックが起こった2008年から数年間は減少しましたが、2015年に激増し、ここ数年もわずかずつですが増加し続けています。

 

ちなみに「保育園落ちた」というブログが反響を呼んだのは2016年でした。この年の4月の時点での待機児童(幼児)は23,553人と発表されていますが、隠れ待機児童(幼児)は67,354人で(参考資料3)、合計で9万人以上でした。2018年になっても問題は解決されておらず、多くの子どもたちが隠れ待機児童の状態に置かれています(参考資料4)。小学生の隠れ待機児童数は不明ですが、幼児の実態から、小学生でも把握されている待機児童数(上記グラフ)の何倍もの隠れ待機児童がいると推察されます。
自治体の直営や委託運営が多い学童保育は、保育所よりもいっそう国の支援が至っておらず、予算措置を伴う拡充が難しい状況にあります。お子さんが保育所に入れた保護者も入れなかった保護者も、小学校に上がる時に再び学童保育の確保に苦労なさる可能性が大きいです。

 

【参考資料】
1)、2)厚生労働省 放課後児童健全育成事業(放課後児童クラブ)の実施状況
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000189556_00001.html
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000148584.html
3)朝日新聞デジタル https://www.asahi.com/articles/ASJ915HLSJ91UTFK00J.html
4)朝日新聞デジタル http://www.asahi.com/special/taikijido/

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